再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
「そう言えば環、来週の週末は休み?」
「うん」

月に数回の土日勤務や夜勤はあるけれど、基本的に土日は休みになっている。
一方敬の勤務する救命科は一般外来の締まっているときの方が忙しいから、土日の休みはなかなかとれないらしい。
もちろん私たち他科のドクターも応援で入るけれど、やっぱり救命科は24時間だから大変そう。

「俺、来週末に5日間の長期休暇をもらっているんだ」
「へえー、いいわね」

救命科は定期的にお休みが取れないからその代わりに時々長期休暇が取れるって聞いたことがあるけれど、本当なのね

「知り合いの別荘を借りているんだ。湖の近くで静かでいい場所らしい。土曜日には救命のスタッフも来て泊りでバーベキューの予定なんだが、よかったら環も来ないか?」

「バーベキュー、いいわねえ。でも、私が行ってもいいの?」

お邪魔じゃないのかしらと、心配になった。

「もちろん大歓迎。それに、塙先生も来るよ」
「塙くん?」
「うん」

敬と塙くんってそんなに仲が良かったっけ。意外な取り合わせだな。

「とにかく来いよ。女性スタッフも何人か泊っていくし」
「そうねえ」
どうしようかな。
「副院長には俺が説明しておくからさ」

えっ。
つい先日外泊して叱られたばかりだからとためらっていた気持ちを、見透かされたみたい。

「場所はメールで送るから」
「わかったわ」
結局Okしてしまった。

たまには息抜きもいいか。
この時の私はそんな軽い気持ちだった。
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