再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
バーベキュー当日。

「皆川先生すみません」
めったにかかってこない杉原先生からの電話に出た瞬間、謝られた。

「ワインに毒物が混入していたらしい」と聞き、行かせてしまったことを後悔したがすべては後の祭り。
とりあえず意識もあり状態が落ち着いていることに確認してから、俺は環が搬送された病院へと向うことにした。

幸いなことに、環が運ばれたのは高度救急救命センターを併設している総合病院。
実家の病院とも提携しているところで、俺にとっては色々と融通は効くところでもある。
もちろん環の顔を見るまで安心はできないが、優秀な救命医の杉原先生が一緒だから大丈夫だと自分に言い聞かせた。


病院に着くと、環は想像以上に元気そうでホッとした。
胃洗浄を嫌だとゴネる姿にイラッとしながらも俺が説得した。
痛みや苦しみを伴う処置は誰がやったって嫌なものだし、現実を知っている医療者ならばなおさら拒否したくなるだろう。
けれど、環はちゃんと説明すれば理解して納得してくれた。

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