再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
「あら、和田さんと一緒じゃなかったんですね?」

近くのコンビニでジンジャーエールを買い病院に戻ってみると、環の病室から出てきた看護師が不思議そうな顔をして声をかけてきた。

「もしかして、いませんか?」
「ええ」

すでに体は回復しているし点滴も外れているから動こうと思えばいくらでも動ける状態だが、まだ行動制限はとれたわけではないと環自身がわかっているはずだ。

「てっきりご一緒かと思いましたが」

看護師は俺が一緒に出かけていると思っていたらしい。

「いつ頃からいませんか?」
「そうですねぇ、20分ぐらい前に見に来たときにはもう部屋にいらっしゃいませんでした」

ってことは俺が出てすぐに部屋を出たってことか。

「すみません、探してみますので」

これ以上騒ぎを大きくしないためには俺が探そう。
手分けして探しましょうかと申し出た看護師を、まずは心当たりを探してみますと止めた。
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