話も決まったところで、ランチにしようとメニューを広げた。
「うわ、ホテルのランチって高いのね」
敬と2人ならもっとお手頃のお店でもいいのに。
そんなことを考えながらメニューを開いていると、
「なあ、環」
少し神妙な声で名前を呼ばれる。
「何?」
「俺って結構性格が悪いんだ」
「知ってるわよ」
きっと冗談で言っているんだろうと、迷うことなく切り返した。
しかし、
「じゃあ、怒るなよ」
「え?」
意味が分からず敬を見ると、テーブルに乗せていた右手に敬の手が重ねられる。
「敬?」
一体何がしたいのと聞こうとした時、
「あれ、杉原先生」
絶妙なタイミングで声がかかった。