再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
「お前と皆川先生にそんな過去があったんだな」
「まあね」

でもまあ、すべて過去のこと。
時間をかけて忘れるしかない出来事。

「そういえば、月曜ってお前が内視鏡?」
「え、うん」

実は上田先生の代わりに内視鏡に入ることになっている。
本当は皆川先生と重ならないように、月金の内視鏡を避けていたのに。

「一緒に入るの、久しぶりだろ?」
「そんな・・・別に・・・同じカメラに入るとは限らないし」
できるだけ近づかないでいようって思っている。

「お前が思うほど、皆川先生は根に持っていないと思うぞ」
週末の救急にしては珍しく、食後のコーヒーにまでたどり着いた敬が意味ありげに私を見ている。

「どういう意味?」

「俺はお前の前から消えた頃の皆川先生を知っているから」

あぁ、そうか。
大学病院を辞めた先生はこっちに帰ってきたんだ。
その頃のことを聞きたい気がする。気にならないと言えば嘘になる。
でも聞くのが怖くて、私は紙コップのカフェオレを流し込んで立ち上がった。

「もういいわ。過去のことだもの。だから、敬ももうこの話はしないでね」
「・・わかった」

「じゃあ、お先」
私は救急外来へと戻っていった。
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