再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
それからしばらく、私は皆川先生と座っていた。

特別どんな話をするわけでもなく、今日のカメラのことや、部長の愚痴、研修医の文句などを並べる私を、先生は穏やかに聞いていた。

「やっぱり変わらないな」
「それって、成長してないって意味ですか?」
「違うよ。素直でかわいいって言っているの」
「やめてください」

もうかわいいと言ってもらって喜んでいられる年ではない。

「今日はこの後予定があるけれど、今度食事に行こう。この辺の店知らないだろ?」
「そう、ですね」
「気のない返事だな」

だって、私は皆川先生の振られたのに。
それともただの同僚としてって意味かしら?塙くんが時々私を誘うように?

「付き合ってくださいって告白したのは君の方だからな」
忘れてないよなって見つめられるけれど、
「私は・・・振られたはずですが・・・」

「それはその・・・あの時言ったはずだろ?」

「え?」
何か言われたっけ?

「覚えてないの?」
「いや・・・その・・・」
うーん、記憶にない。

「まあいい。またゆっくり聞かせるよ」

それ以上皆川先生は多くを語らず、私たちの3年ぶりの再会は終わった。
こうして皆川先生と話すことで、私の心の重荷も少しだけ軽くなったような気がしていた。
< 63 / 200 >

この作品をシェア

pagetop