呪われ侯爵の秘密の花~石守り姫は二度目の幸せを掴む~

第23話



「全部パトリック様から聞いたの。エオノラが婚約者だったってことも、私の従姉であることを承知で近づいたことも。パトリック様は、私に一目惚れをしてしまって、自分の心を止められなかったって言っていたわ。ごめんなさいエオノラ。私、彼がエオノラの婚約者だって知っていたらアプローチを断っていたわ。……結果的に傷つけてしまって本当にごめんなさい」
「良いの。何も知らなかったんだから。アリアもたくさん傷ついたのよね。巻き込まれて辛かったわよね」
 手が震えているのを気づかれないように、アリアの背中を撫でる。
 従姉として弱いところは見せたくなかった。
 アリアは腕にさらに力を込めてか細い声で言った。

「ええ。でもね、私……。私はね、エオノラ……」
 涙声を聞いてその先の言葉が想像できた。
 アリアがパトリックのことを好きだということを。
 エオノラはきつく唇を噛みしめた。婚約者を取られて悔しくないなんていえば嘘になる。
 しかし、アリアは何も知らなかった。そして二人は両想い。可愛い従妹が幸せになるのならきちんと祝福してあげないといけない。
 それに、もうリックとの婚約は解消されて関係は終わっている。

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