呪われ侯爵の秘密の花~石守り姫は二度目の幸せを掴む~

第7話



「こんなところに貴族のご令嬢がたった一人で乗り込んできたんです。それも二回も」
 何故か前回侵入したことがバレてしまっている。
 どうしてここに来たかと言えば、それは石の音が聞こえたからであって、決して倒錯的な性的嗜好からではない。
 しかし、きちんと説明すれば魔力持ちだと判断されて魔術院へ連れて行かれるし、死神屋敷に侵入したことだってゼレクに露見してしまう。
 説明したくともうまく言葉が出てこない。

 いつの間にか青年の手が無遠慮に顎を掴んできた。
「あなたは私を見ても恐怖で怯えない。醜い化け物だと叫びもしない。失神もしない。この不可解な状況から、倒錯的な性的嗜好を持つご令嬢と判断するのが妥当だと思うのですが?」
 まったく訳が分からない。
 エオノラが困惑して黙り込んでいると、青年は痺れを切らした。

「もう私が誰なのか、分かりきっているはずですが一応挨拶しておきましょう。私はこの屋敷の主であるクリスフォルス。あの有名なラヴァループス侯爵です」

< 31 / 200 >

この作品をシェア

pagetop