呪われ侯爵の秘密の花~石守り姫は二度目の幸せを掴む~

第15話



 帽子を被り、玄関へ向かっていると階段上にいるイヴに呼び止められた。
「お嬢様」
「どうしたの?」
 イヴはスカートを摘まんで階段を駆け下りてくる。
「大奥様の形見である柘榴石のペンダントですが、チェーンの取り寄せに時間が掛かっていると宝飾店から連絡がありました」
 祖母の形見である柘榴石のペンダントは数日前にチェーンの交換をイヴに頼んでいた。
 もっと早くにお願いしたいところだったが、リックとアリアの件でショックを受けていたため、そこまで頭が回らなかった。

 柘榴石のペンダントは他の宝石や鉱物石と違って、多くのメッセージをエオノラに伝えてくれる。まるで祖母がいつも側にいてくれるような気がして、心の拠り所でもあった。
 戻ってくるのを心待ちにしていたので、時間が掛かると聞いて落胆する。
「分かったわ。そればっかりは仕方がないもの」
 エオノラが肩を竦めると、イヴが微笑みを浮かべた。

「チェーンの交換を待っているその間に柘榴石のクリーニングも頼んでおきました。戻ってくる頃には綺麗になっていますよ」
「ありがとう。そうだ、宝飾店で思い出したけど出かけている間に私の部屋の机に置いているカメオのブローチは処分しておいてくれる? あれはもう必要のないものだから」
「承知しました。片付けておきますね。気をつけて行ってらっしゃいませ」
 眉尻を下げてお願いすると、イヴはその品が誰から贈られたものなのか察しがついた様子だった。彼女はそのことには一切触れずに、エオノラが気持ち良く出かけられるように見送ってくれた。

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