悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
「連れとは、一人で合流できそうかい?」

手を優しく離されて、アメリアはドキドキしっぱなしの胸元でぎゅっとした。

「はいっ、もう全然大丈夫です!」

「君の元気な表情が見られて良かった。気をつけてお戻り。私はこのまま馬車に向かうから、君とはここでお別れだ」

「えっ、馬車ってこことは反対方向なのでは……」

「うん。向かっていたら、君が座り込んでいる姿が見えたものだから、心配で」

こ、この世界に生まれて良かったあああああああ!

アメリアは、向こうを指しているミッシェルの優しさにも感激した。もう、悪役令嬢に生まれかわっただとか、一瞬本気でどうでもよくなった。

「また、いつか会えるといいね」

目を戻したミッシェルが、キラキラと眩しい笑顔で言ってきた。

「はいいいいい!」

絶対見に行くわ!

アメリアは、声をかけられた瞬間に気持ちが固まった。〝推し〟が尊すぎて、ゲームのシナリオとかそれどころじゃない!

私っ、彼女のルートを見るために頑張る!

そうして、私は彼女のために生きるのだ!! 転生バンザイっ! アメリアの脳内には、すっかり見合いのことなども飛んで素敵な未来の構図が浮かんでいた。

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