自分の運命と出会った――そんな最高の〝推し〟との初対面。しばらくは家族の話も聞き逃すほど、夢心地でぽわぽわと過ごしていた。

だが、その翌々日、晴れやかな午後の早く。

アメリアは、どうにか令嬢としてアウトにならない表情でいた。屋敷の外テラスにて、慎ましげに座りつつもテンションはただ下がりだ。

うわー……、ほんとに来たわ。

心境は、まさにそう口にしたいほどだった。

本日、アメリアのクラレンス伯爵家でお見合いが開催されていた。その席に座っている相手は、かなり不服そうに向こうを見ている第二王子エリオットである。

エリオット・フォン・ウィルアベル。

このウィルアベル王国で、王位継承第二位の第二王子である。この国では、王族とその血筋に繋がる者には「フォン」が入った。

アメリアより三つ年上の十八歳。艶やかな黒い髪に、切れ長の紺色の瞳。端整な顔立ちは、不機嫌顔であっても絵になるほど美しい。政治を主にみている兄と違い、彼は軍事をメインで任されて公務にあたっている。

ゲーム通り、本日、アメリアは彼との見合いを迎えていた。

『お前に嬉しい報告があるっ。大変喜ぶことだろう。何せ、お前もイケメンなら気になると言っていた、あの第二王子殿下との見合いが決まったぞ!』