悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
三章 まさかの溺愛宣言と、推しへの愛

その週末、アメリアは憂鬱な朝を迎えた。

本日、婚約者であるエリオットと初めての舞踏会がある。ミッシェルのために参加できるのならばと、自分に言い聞かせるものの溜息は止まらない。

この日のために、数日前からメイド達に丹念に磨き上げられていた。肌はつるつるでしっとりしており、チェリーピンクの髪もさらっさらだ。

「さぁ、ご準備をしましょうか!」

嫌だなぁ……。

夕方、そんな本音を隠して、アメリアは湯浴みから始まってドレスの支度を整えられた。

メイド達は化粧にも力が入り、髪も半アップにされて装飾品で飾られる。ドレスは淡いエメラルド色。その柄を作っている生地部分も細かく配慮されていて、エリオットの黒の髪色が盛り込まれていた。

そうして仕上げに、彼と同じ瞳の色をした大きな宝石のネックレスがされた。

別件で社交が入っている兄を見送ったのち、日が暮れた頃にアメリアは王宮へと送り届けられた。

「はぁ、憂鬱だわ……」

会場入り口を遠くに眺め、再び溜息がこぼれる。屋敷から盛大に送り出してくれた両親や使用人一同と違って、アメリアのテンションは低い。社交デビューより着飾っていないかしらと、踵の高いヒールも少し気になっている。

サロンでの一件があったのち、エリオットから正式に舞踏会への参加の知らせが届いた。

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