悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
アメリアは、美しい赤い薔薇のような目に空を映した。日陰を作ってくれている木の葉が、これから来る夏を思わせる明るい緑の葉を風に揺らしている。

不意に、青い空に、丸々とした何かが飛んでいるのに気づいた。

それを目に留めた瞬間、動物には存在しないはずの〝青〟い姿に唖然とした。それは鷹ほどの大きさの太った鳥で、首には特徴的なスカーフを巻いている。

「まるでキャラクターみたいな、でたらめな、鳥……」

思い返すように呟いて、アメリアの顔が強張る。

「待って……あれって確か〝ヒロイン〟のアドバイザー的な存在になる、ゲームのスタート地点で出会える教会の、伝書鳥だったマスコットキャラクター……」

そう震える声が口からこぼれ落ちた直後、アリメアは、頭をガツンと殴られたような衝撃を受けた。

一瞬、目の前がチカチカするほどの強烈な頭痛を覚えた。だがそれを抜けると、まるで目が覚めたみたいに、これまでの違和感などが全て解けた。

「う、嘘でしょ……? こ、ここって【ソフィア・ハーバーと青い鳥】のゲームそのまんまじゃないの」

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