悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
「ふむ。舞い上がっていて、うっかり考える余裕がありませんでしたが、言われてみれば確かにそうかもしれません」

「何か思い当たることってありますか?」

「そうですね……」

アメリアの相談を受けて、クラークが真面目な雰囲気で考える。

「もし、お前が気づくくらいにそのご様子が最近多いことだとすると、直近で思い当たるならば、今度ある舞踏会でしょうか」

「舞踏会?」

「ミッシェル様も珍しく参加する予定だ、とは聞いています」

「滅多に参加されない方なのですか?」

「私が知る限りではそうですね。お身体が弱かったこともあり、デビュタントを迎えた際に、茶会といったイベントも自粛させて頂きたいと、イリスバーグ侯爵家から直接通達があったそうです」

そういえば、十五歳で社交デビューをした後、何度か父に連れられてパーティーにも出席したが、その際にミッシェルを見かけた覚えはない。

そう思い返していると、クラークが顎をさすりながら考察を続けた。

「そこに何かしらの理由があるとするなら、舞踏会に参加する彼女の様子を見れば少しは〝原因〟も分かるかもしれませんね」

「なるほど。でも兄様が参加するとは聞いてないし……、どうしましょ」

舞踏会なんて初耳だ。恐らくは、父や母も参加の予定はないのだろう。でもアメリアとしては、動けるチャンスがあるのならミッシェルのために頑張りたい。

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