「はい!半分!
だったらいいだろ?」
戻って来た東矢は、頭の方を渡してきた。

「うん、でも東矢くんが頭食べなよ!」
「いいよ、頭の方が餡が多いんだから。
都麦にやるのは当たり前だろ?」

ほんと東矢は、変わらない。
この笑顔も、優しさも、気遣いも……

「ありがとう。
…………ねぇ、聞いてもいい?」
たい焼きの頭を受け取りながら、都麦が言った。

「ん?」
「あの日…私を振ったあの時言った“疲れる”って何のことだったの?
私、愛情が重たい女だったってこと?
それとも、毎日の送り迎え?
でも送り迎えは、東矢くんがしたいって言ってくれたんだよ?」

「………都麦ってさ」
「うん」
「外見だけで言うと、正直目立たない“普通”の女なんだけど、話をして内面を知るとびっくりするくらい急激に心を奪われてくんだ。
最初一雄に紹介された時、地味って思ってたんだけど話してく内にどんどん心が奪われて、日に日に“好き”って気持ちが募っていった。
そしたらさ。
好きって感情が、不安とか苦痛とかに変わっていったんだ。
離れてる間がとにかく苦しかった。
学校別々だったし、一緒の高校だったらもっと違ったかもだけど……
だからそんな生活から逃げたくて、都麦を振ったんだ。
“疲れる”って言ったのは、そんな生活のことだよ」

「そうだったんだ…
ずっと、心残りだったの。
東矢くんを知らないうちに傷つけてたのかも?って!」
「俺が勝手に傷ついてただけ!
都麦は悪くないよ。
…………都麦のこと、本当に大切で大好きだったんだよ!」

「うん、ありがとう!
私も、あの一年間…幸せだったよ!」
二人はお互い、微笑み合った。

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「ただいま!つむちゃん」
「おかえりなさい」
鞄を受け取りながら、言った都麦。

刹那を見上げた。
「ん?つむちゃん、どうしたの?」

あぁ、やっぱり刹那が好きだと思う。
好きで、好きで、好きで、好きで堪らない。
刹那の瞳に映るのが、自分だけだったらいいなと思うくらいに………

「刹那さん、大好き」
「うん!僕も大好きだよ!」
刹那が口唇を寄せてきた。
都麦も自然に目を瞑る。
そして二人の口唇が重なる寸前━━━━

「……………都麦の友達って…煙草吸うの?」
と、刹那が言った。