囚われて、落ちていく
「こんな支配受けてて、怖いのに、あり得ないのに……それでも刹那さんのこと好きなの。
放れたくないの。嫌われたくないの。
私が怖いのは、そうゆう“自分自身”なの」

「「都麦……」」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
そして八重の結婚式当日。

刹那と夕食中。
「ん。これ、美味しいー」
「ほんと?良かったぁ。
これね……刹那さんの嫌いな、トマト入ってるよ!」

「は?嘘……」
「フフ…小さく切って入れてあるんだよ?」
フリーズしている刹那を、クスクス笑いながら見ている都麦。

「……つむちゃんには、ほんと…敵わないなぁ~
でも、本当に美味しいよ!」
刹那もつられて微笑んだ。

そんな時だった。
由利から電話が入る。
「刹那さん、由利ちゃんから電話だから出ていい?」
「ん。どうぞ」

『都麦、今家?』
「え?うん。今結婚式の最中じゃないの?」
『今終わったの!』
「そっか!どうだった?八重ちゃん、綺麗だった?」
『うん!
それでね。今から二次会なんだけど、都麦も来れない?旦那も一緒でいいから!』
「え?二次会?
でも………」
都麦はさりげなく、刹那を見た。

「ん?」
刹那が微笑む。
「んー、きっとダメって言われるから……」
『だったら、代わって?旦那に』
「え?」
『私が話す』
「………ちょっと、待って。
━━━━刹那さん、由利ちゃんが話がしたいみたいなんだけど、代わってくれる?」

「んー、わかった。
━━━━━━もしもし?」
刹那に渡し、通話を代わった。

『こんばんは。私、都麦の友人で館山といいます』
「こんばんは」
『今から結婚式の二次会なんですが、旦那さんも一緒で構わないので来ませんか?
新婦が会いたがってて……!』
「メンバーは?」
『え?』
「二次会に行くメンバーだよ?
誰が行くのか“全員”教えて?」


そして今刹那と都麦は、ダイニングバーの前にいる。
< 35 / 58 >

この作品をシェア

pagetop