囚われて、落ちていく
都麦が気絶して、ある男が抱き止めた。

「……っと、危なっ!」
瞬作だ。

「瞬作、都麦を車へ」
「了解」
刹那が都麦と瞬作に近づきながら言い、瞬作に抱き上げられた都麦の頬を撫でた。

瞬作が店を出ると、刹那が由利達に振り返った。

「━━━━━━!!!!」
その雰囲気は、まさに“魔王”だった。

「どうゆうこと……!!?」
由利達は、かなり混乱していた。

それもそのはず。
当初の予定は、由利の男友達数名が都麦を連れて東矢の所へ行き、あとは東矢と遠くへ逃げて暮らすという計画だったからだ。

でも今…ここにいる男達は、刹那の部下で一花組の組員だ。

「誰……?」

「お前等の計画、始めから知っていた」
「え……」

「この俺が、知らずにノコノコ都麦を連れてきたとでも?」
「最初から、知ってて……?
じゃあ、どうして?」

「約束、覚えてるよな?」
「え……」

「お前、都麦の友人だから許されるとでも思っていたのか?
言ったはずた。
例外はないと……
さぁ、約束を果たそうな?」

雰囲気が、黒く、染まっていく。
深く、重く━━━━━

それからはまさに“地獄”だった。

由利達“全員”この世から消え去った。

「兄さん、あとは始末しておくよ?
都麦ちゃん、待ってるよ」


「…………つむちゃんの友達、いなくなったね」
瞬作が聞いたことのない、刹那の弱々しい声。



「…………兄さん…まさか“後悔”してるの?」

瞬作が、信じられない思いで刹那を見ている。




「後悔……?」


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