囚われて、落ちていく
「フフフ……」
刹那が、突然笑いだした。

「兄さん…?」

「ハハハハ……!!!!」
「兄さん、どうし━━━━━━」

瞬作が刹那に近寄り、顔を覗き込んだ。
刹那は、恐ろしい程に妖しい表情をしていた。

「後悔なんてするわけないだろ?
つむちゃん、友達いなくなったから益々僕だけになったなぁって思ったら、嬉しくて………!」

「………」

「瞬作、あとよろしくね~」
後ろ手に手を振りながら、店を出た刹那だった。




瞬作は、店内を見渡した。

まさに“惨状”だった━━━━━━

由利達は、見るに耐えない姿で絶命している。
“これ”を、刹那一人で殺った。



「なんで、言うこと聞かなかったの?」

「なんで、兄さんに対抗しようとしたの?」

「君達は、本当にバカだよ」

「誰も、兄さんには勝てないんだよ?」

「兄さんは、ある意味“王様”なんだから」

「せっかくの結婚式だったのにね……」

「人生で、最高の日が……最低な日になったね」

「でもね………君達がいけないんだよ?」

「兄さんに、逆らったりするから」

「兄さんから、都麦ちゃんを奪おうとするから」



瞬作は切なそうに瞳を揺らし、ただひたすら……言葉を繋いでいた。


そして帰りの車内━━━━━

刹那は、都麦を膝枕して頭を撫でていた。
「フフフ……」
刹那は笑いが止まらない。

少しずつ…でも着実に、都麦が自分だけのモノになっている。

こんな風に、少しずつ周りを消し去っていきたい。

そんなことを考えていると、笑いが止まらないのだ。

「早く、僕“だけの”モノにしたいなぁ。
…………でも、ダメ。
もう少し僕に、依存させなきゃ!」


刹那の狂愛はまだ、走り出したばかりだ。
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