囚われて、落ちていく
「つむちゃん、ただいま……」
その後の仕事を急いで済ませ、マンションに帰ってきた刹那。
寝室を覗くと、都麦はぐっすり眠っていた。

刹那は微笑んで、ベット脇に腰かけた。
先程の美波とは全くの正反対の態度で、都麦の頭を撫でる刹那。

とても穏やかで、優しく微笑んでいる。

しばらく都麦の寝顔を見つめて、キッチンに向かった。
調理をしていると、都麦が起きてきた。

「刹那さん、お帰りなさい」
「つむちゃん、大丈夫なの?ご飯出来たら、声かけるから寝てて」
「ううん。大丈夫だよ!
それにあんまり寝ちゃうと、夜寝れなくなるし……」
「その時は、僕が一晩中でも話し相手になるよ?」
「ダメだよ!刹那さんは、毎日お仕事忙しくしてるんだから、夜はゆっくり休まないと……!」
「いいんだよ?
僕はつむちゃんが大切なんだから!」
「刹那さん…ありがとう!」

「はい、つむちゃん!出来たよ!」
テーブルの上に並ぶ料理。

「美味しそう!」
「身体を温めるものがいいと思って、ポトフにしてみたよ?どうぞ?」
「うん、いただきます!
……………んー!美味しい~!!」

頬杖をついて、都麦が食べるのを見守る刹那。
「フフ…良かった!」
満面の笑みの都麦を見て、刹那も自然と微笑む。

「………」
「つむちゃん…?どうしたの?
気分悪い?無理して食べなくていいから、横になる?」

「ううん。違うの。
幸せだなぁって思って……!
刹那さんは時々怖いなって時があるけど、いつも穏やかで優しい。
いつも私のことを一番に考えてくれて、私にはほんと勿体ない人なの。
だから…………なんだか、怖くて…」
「ん?」
「なんかね……」
「うん」

「あまりにも幸せ過ぎるから、恐ろしい事が起こるんじゃないかって……
その前触れなんじゃないのかなって…」

刹那が、妖しく微笑んだ。
「………そうかもね」
「刹那…さん…?今、何て…?」

「ううん。何も?
大丈夫だよ!つむちゃんは、僕が守るよ。
何があっても、放さないから……!」
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