囚われて、落ちていく
刹那にメールし終えた都麦。
「よし!送信っと!
片付けて、買い物行かなきゃ!」

そして刹那は━━━━━━
エレベーターに乗り込み、ドアが閉まるとスッと雰囲気が変わった。
威圧感があり、瞳の色も真っ黒になったかのように全てが真っ黒だ。

これが本来の刹那。

スマホにメールが入る。
「キッチンを片付けて、買い物か。
………てことは、いつものスーパーだな…」
と呟き、エントランスを出た。

「兄さん、ごめんね」
瞬作は刹那の従兄弟なので、刹那のことを“兄さん”と呼んでいる。
「で?大臣は何て?」
瞬作がドアを開け、車に乗り込みながら言った刹那。

「また、護衛をお願いしたいんだって」
瞬作も運転席に乗り込み言った。
「………てか…大臣は俺等のこと、SPと勘違いしてるな」
「フッ…そうだね。全く逆なのにね」
「まぁいい。その代わり、色んな情報を得ることができるし」
そこで瞬作がエンジンをかけた。

すると━━━━━━
コンコンと後部座席のドアがノックされ、都麦がいた。
刹那は一瞬で、雰囲気を消し柔らかくなる。
そして窓を開けた。

「つむちゃん、どうしたの?」
「ごめんね!でもよかった!間に合って!
これ……」
微笑み手渡されたのは、栄養ドリンクだった。

「栄養ドリンク?」
「うん、昨日の夕食もほとんど食べずにその……寝ちゃったし、朝はおにぎりだけだから刹那さんが倒れないようにと思って!
もう一本は、瞬作さんに渡して?」
「うん!ありがとう!つむちゃん、このまま行くの?買い物」
窓から手を伸ばし、頭をポンポンと撫でた刹那。
「うん!」

「送るよ。乗って?」
「え!?だ、ダメだよ!刹那さん、お仕事あるんだから!」
「だって心配だから」
ドアを開けた刹那は、一度外に出て都麦の腰を抱き車内に促した。

「う、うん…
瞬作さん、ごめんなさい」
瞬作にも断りを入れながら乗り込んだ。
「大丈夫だよ」
瞬作も安心させるように、振り返り微笑んだ。
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