小さな願いのセレナーデ
いつも四人で食卓を囲んでいるが、誰かが『毎回四人で食べよう』と言い出したわけではない。
だけど自然とそうなった。
きっと私達四人は、こんな賑やかな食卓を経験したことがないから、だからやっぱり憧れてたんじゃないかと思っている。実際私は、毎日これでもいいぐらい好きな時間だけど。


「こら碧維、これも食べなさい」
「ヤダ!」
「にんじんは?」
「にんじん、いやぁー!」

またお兄ちゃんと碧維は、野菜を食べる、食べないで争ってる。
最近碧維は喋る言葉が随分増えたが、それと同時にイヤと言う回数も上がってる気がする。
ユキさん曰く、これが自我の芽生えで魔のイヤイヤ期らしい。しかも今はまだ入り口でこんなもんじゃないらしい。


私はお兄ちゃんからフォークを奪って、自分の付け合わせのにんじんをズボッと刺した。

「はい、あーん」
「あーん」

私がにんじんを差し出すと、碧維はパクッとすんなり口に入れた。
この時ばかりは勝った……!と自慢したくなる。
恨めしそうな顔を抑えているお兄ちゃんを見ていると、ほくそ笑む顔を押さえられない。
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