小さな願いのセレナーデ
助けに行かなきゃいけない。なのに、頭が痛くて動けない。
ついに碧維は、動けずに泣き出してしまった。


「ダメだぞ」
彼の声──昂志さんの声がして、顔を上げる。
すると昂志さんが碧維を担ぎ上げてる姿が目に入った。


「大丈夫か?」
「薬飲めば、大丈夫……」

ぐるぐる回る視界の中、なんとかかばんを漁って中から薬を取り出す。
ポーチにぎっしりと入った薬を一つ取り出し、水筒の水でごくりと流し込んだ。

薬は飲めたが、急には収まらない。
ぐるぐる回る視界と、割れるように痛い頭。思うように体が動かない。
ふらつきながら立っていると──そっと誰かが腕を掴む。

「帰るぞ」

昂志さんは私の腕をしっかり持って支える。
反対の手は碧維と繋いでいるが、碧維は振りきろうと暴れている。すると軽々と持ち上げて、肩車をするとキャッキャと楽しそうに声を上げてて大人しくなった。


「……ベビーカー押してくから」
腕を離させて、ベビーカーに体重を預けて歩行機のように歩いていく。
それでも彼は隣に立って腰に手を回し、私を支えるように歩いている。
ふと横を見ると──上下に並ぶ、二つの横顔はそっくりだった。
碧維は彼に、似ていない筈だったけれど。
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