愛しの君がもうすぐここにやってくる。

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「紫乃様、おはようございます、食事の支度が整いましたので・・・」

桔梗さんが私のそばにやってきて声をかけた。

いつも思うけれど彼女は大人でとても儚げに見えるけれど本当はしっかりとしている。
彼女のような女性だったらきっとこの時代だけでなく、私の元いた時代でもきっと男性に好かれるんじゃないだろうか。

でも時親様は前に桔梗さんのこと、違うからとかなんとか言ってたっけ。
どういう意味だろう?

「どうかなさいましたか?」

ぼんやりと彼女を見つめていたせいか、桔梗さんが私の肩をぽんとなでるように手をおいた。

「あっ、すみません、桔梗さんはきれいだなと思ってつい・・・」

私の言葉に彼女は口元を手で押さえながらクスッと笑い、
「いえ、紫乃様のほうがずっと美しいと思いますよ」
そう言った。

私が?
いやいや、それはあり得ないだろう。
でもお世辞だったとしてもそんなこと言われたことなかったから少し嬉しい、
なんて思ったりして。

「紫乃様、どうぞ、こちらへ」

手招く彼女の後をついてゆく。

「食事が終わりましたら早速、始めましょうか」

え?どういうこと?
これはもしかして私、桔梗さんから琵琶を教えてもらえるってこと?

「桔梗さんが教えてくれるんですか?」

「ええ、時親様から紫乃様に教えるようにと言付かりました」


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