揺るぎのない愛と届かない気持ち

俺と長内 〜東吾

長内とは会社の同期の間柄だった。
俺は営業から企画戦略室勤務で、
長内は総務畑。

部署は違ったが、
会社のサークルの
フットサルチームで仲良くなった。
もちろん同期何人かが一緒で、
二人でということはなかった。

そのうち、大学の友人たちと続けていた
フットサルのサークルのマネージャーが
結婚して、抜けてしまったために、
俺は何かと気働きがあって、
気が置けない長内を
マネージャーに誘った。

会社のサークルが幽霊サークルに
なりつつあったこともあり、
長内は二つ返事で引き受けてくれた。
さすがというか、何というか、
練習場の確保から試合相手との交渉、
俺たちのスケジュール管理まで
そつなくこなしてくれて、
あっという間になくてはならない
存在になっていた。

会社でも同期女子の中で、
頭ひとつ出た働きをする長内は、
早くも来年は主任かと、入社3年目にして
噂されていた。

「お前ら付き合っちゃえよ。」

「そうだよ、
そんなんで付き合ってないっておかしくないか?」

大学時代の友人たちは口が差ない。
入社して3年目になろうとしている
俺たち二人を、周りはくっつけようと
躍起になっていた。

同じ会社だから勤務後、フットサルの練習に
連れ立って行くことはあるし、
休みの日の練習や試合の時は、
車で送り迎えをした。
それは、仲間意識という以外何ものでもない。
長内も、異性を感じさせることなどなく、
俺ともフットサルの仲間とも
同じように付き合っていた。

はずだった。

だが
あのまだ若かった頃、付き合うということに
何の重みも感じていなかった俺たちは、
仲間の口車に乗って付き合い出した。
どちらからともなく、何となく。。。

今まで
俺たちはと思っていのは、俺だけだった、、、ということが今回のことで
はっきりとわかった。


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