激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす
七、悪夢は二度と起こりません。

 七、悪夢は二度と起こりません。


 引っ越し先を探していたけれど、実家からの接触が途絶えたので後回しになっていた。

 あと社会人になってから、家のローンが残っているという両親に仕送りしていたけど、それも止めた。

 給料日にいつも仕送りしていたので、生活の一部になっていたけど、美麻や宇柳さんから『一度でも感謝されたことはあったの?』と問いだされてきっぱりやめることができた。

 六年間毎日欠かさずしていて、そのことすらも気づかなかった。

「見ましたよ。守屋さんが担当した『Madonna』の楚々」

 見本が完成し宇柳さんからも認められて納品が終わったのは一週間前。
 今回は祝賀パーティーで配るものなので、営業の石井くんには興味ないと思っていた。

「ステンドグラスをバッグに綺麗な横顔の女性って感じ。いいですね。香りも清潔感あって透き通っててくどくない。部屋に香っていても気にならないし」

 オーガニック素材を中心に調香したので、石井くんの感想は私が目指した香りそのものを言い当ててる。流石有能営業マン。

「ありがとう。祝賀パーティーはうちの会社も招待されるらしいから、その時皆にも配布されるって。会社にも贈ってくるって」
「わー。いいんすか。彼女とか、親も喜びそう」

 私もあのガラス瓶はデザインがため息が出るほど綺麗なので、使い終わった後もアロマキャンドルを入れて使っていきたいので楽しみだ。

「じゃあお疲れ様っす」

 石井くんは可愛いお弁当箱を持って早々に会社を出た。彼女からの手作りお弁当をロッカーに忘れてしまったと自慢しながら。
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