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…先生が助けに来てくれたから、その時は特に何もなかったけれど。
よく考えれば、あんな目を向けてきた彼女達があれだけで済むわけない。
女子の因縁というか執念は怖い。
「…はぁ。」
靴箱を開けてから、見えた景色にため息をつく他ない。
逆に感心してしまうくらい荒らされた中身。
あの日から毎日だけど、上靴がどこにあるか、探すのさえ億劫になるくらい。
こんなベタな嫌がらせ、現実でもあるんだな…。
そう思いながら、何とか上靴を探し出して、被っていた埃を軽く取ってから履いた。
朝っぱらから手間だ…。
まぁ、この程度で済むのなら、別になんてことないんだけど。
…小学生の時は、もっと酷いことされてたし、それと比べれば屁でもない。
「おはよー、侑華。
ね、数学の宿題見せて!今日私からな気がする。」
「あ、おはよ、愛琉。うん、良いよ。」
「やった〜。っていうか、侑華、今日いつもより遅いね。朝練長引いたの?
椎名くんはもうとっくに来てるけど…。」
「あー…片付けが、ちょっとね。
てか、そんなこと言ってる愛琉だっていつも遅刻ギリギリで人のこと言えないでしょ。」
「まぁね〜。」