スタンドバイユー
3.
「お先に失礼します」


「お疲れさま」



5個上の同僚のさやさんが笑顔で送ってくれる。


時計を見ると22時。



今日は人手が足りなくて一時間の残業。


いつもより、人通りの少く感じる帰り道は真っ暗でちょっと怖い。



いつもより、一時間遅いだけなのに、何だかすごく暗く感じて、急に怖くなったあたしは足を速めた。



アパートまであと少しという所まで来たときに、足音に気がついた。



あたしの足音の他にもう1つの足音。


まさか、あたしをつけてるんじゃないよね…?


いやいや、気のせいだ。


そんなこと、あるわけないし。



自分で自分を納得させていると、いきなり相手の足音が速まった気がして。


決心をして、後ろを振り返らずに走り出した。



と、駆けてくる足音が耳に響いた。


もしかして、つけられてる?!



アパートまでは、目と鼻の先。

大丈夫、大丈夫。


自分に言い聞かせて、とにかく、走る。




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