片恋
それは、一体どういう……。

口を開く。

声に出す、その瞬間。


──キーンコーンカーンコーン……。


チャイムが鳴り響き、それと同時に、担任の今井先生が教室に入ってきた。

スタイルが良くて、ストレートの茶髪が歩くたびにサラッと揺れる。

いつ見ても、綺麗。

私たちと今井先生の年齢差は、五歳。

五年も経てば、私もあんなふうに大人っぽくなれるのかな……。


「はーい、皆さん、ちゃんと席に着いてね。こら、そこ、音楽プレーヤーしまって。没収しちゃうよ」

「あ、担任もう来てたんだ。ごめん、真桜、音止める」


今井先生に指摘された伊月くんは、音楽プレーヤーを片付ける。

音楽が途切れて、教室のざわめきが戻ってくる。


「あれ、真桜、なんでこっち見ないの?」

「……なんでもない」


両耳で、君の声を聞く。

……とても、心臓に悪い。
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