エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
堕とされる
純平さんとの偽装結婚生活が始まって、三度目の週末を迎えようとしている金曜日。
私は桃子からランチに誘われ、一緒に社員食堂に行った。


うちの会社の食堂は、食品メーカーだけあって、かなり立派。
社員の福利厚生も兼ねているため、格安だ。
本社はビュッフェスタイルで、品数も多く、もちろんとても美味しい。


今日は、総菜部による新商品試食イベントがあって、後で社内サイトからアンケートに答えると昼食代が無料になるため、いつも以上に混雑していた。
私も桃子も、迷わず試食の列に並ぶ。
ふたりそろって、三百食限定の〝シャキシャキ根菜のキーマカレー〟を無事ゲットして、窓際のテーブルで向かい合った途端。


「歩。お兄さん、紹介して!」


勢いよく身を乗り出して来られ、私の頬がヒクッと痙攣した。


「あんな超美形なお兄さんがいるなら、隠さないでよ~」


やや食い気味に目をキラキラさせる彼女に、自然と笑顔が引き攣る。
残念ながら、私には超美形なお兄さんなどいない。
桃子が『紹介して』と言う〝お兄さん〟は、純平さんのことだ。


というのも、昨日の帰宅時のこと――。
今夜の献立をLINEで報告したら、初めて返事をもらえた。
< 93 / 261 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop