やっと鼻が落ち着いたシャンテルは、食事を再開した。
 結局、胸がいっぱいであったとしても、お腹いっぱいになるまでは食べないと気が済まない、ということだ。いや、むしろやけ食いするしかない。

「それで、今日の潜入調査はどうする気だ?」
 ガレットがまともなことを口にした。今日のガレットは彼らしくもない発言が多いことに、シャンテルは気付いた。

「ええと。普通に行きますよ。昨日、仕掛けた魔導盗聴器も回収しなければなりませんし。あれ、貴重なんですよ。作るための材料が特殊なんです。だから、さっさと回収したいんですよね。本当、壊れてたり無くなっていたりしたらどうしようかと、今も気が気でありません」
 このシャンテルの優秀なところの一つが魔導具を作って扱える、というところ。少なくても魔力持ちだからだ。
 魔導具師という職種のものはいるのだが、彼らの作る魔導具とシャンテルの作る魔導具では少し種類が違うらしい。一般的な魔導具師は生活を便利に、豊かにするような魔導具を開発して作っている。シャンテルの魔導具は、魔導盗聴器をはじめ、とにかく彼女の趣味で怪しいものが多い。その怪しいものが、この漆黒の中では大いに役立つ。