その星、輝きません!
星が見えない時
*****
 
「どうして、ちんすうこうなんですか? 紫芋タルトもあるし。東京に行ったんですよね?」


 あかねが、テーブルの上のお土産の箱を並べながら首を傾げた。


「へへっ。大人の事情ってやつよ」


「突然沖縄って、有り得ないでしょ? ちゃんと説明しなさいよ」


 薫が、パソコンの画面を睨んでいる私の耳元で言った。


「たまたま沖縄フェアやっていたのよ」


 つい青い海に浮かれて、ホテルのショップで買ってしまったのだ。


「そんなもの大人の事情じゃないでしょうが。それに、なんかあったでしょ? 顔が変よ!」


 薫の顔が目の前に現れ、じーっと見つめてくる


「ふううううっ」

 私は、たまらず机の上に突っ伏した。


「ちゃんと話してごらん……」

 薫の声は、穏やかに怖い……


「ジェット機で、沖縄の離島に行った。プール付きのビィラに泊まっただけ……」


「はあ? そんなウソはいいから……」


「私だって、夢なのかと思ったけど。違うみたい……」

 私は目を閉じて、両手で押さえた。


「じゃあ、誰と行ったのよ?」

「言えない……」

「言え!」

「よく知らない人……」


「ジェット機にプール付きビィラですか?」

 あかねが、腕を組んで考えている。

「財布の男?」


「ああああああっ」

 私は両耳を塞いだ。


「どういう事?」


 私は、仕方なく誕生日のお祝いだった事をポツリポツリと話した。
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