俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
幸福クリアランス

 実家への挨拶を翌日に控えた今日、私は美紅さんといつもの社食でお昼休憩をしている。ランチをもそもそと食べながら、千里さんのお父様の話や明日の件について打ち明けた。

 神妙な顔で耳を傾けていた美紅さんは、一度箸を休めてうーんと唸る。


「天澤さんにはそんな事情があったんだ……。確かに、あのオーバーラン事故の直後は機長へのバッシングがあったわよね。私たちは冷静に調査結果を待ってたけど」
「はい。私の父がそのきっかけを作ったのかもしれないと思うと、本当に申し訳なくて」


 記事が間違っていたと、さすがに父もあとから知ったはず。それについてどう思っているのか、私も知りたい気持ちはある。けれど……。


「父も記者としてのプライドを持っているから、話がこじれることもあると思うんです。もしそうなったら……いつか千里さんが離れていっちゃいそうで怖い」


 目線を落とし、拭いきれない不安を吐露した。

 彼も別れる気はないようだったが、結婚している限り家族付き合いはずっと続く。いつか耐えられなくなる日も来るのではないかと、悪いほうに考えてしまう。
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