音に祈りを!歌に願いを!
三曲目
悠の両親は、僕の話を盗み聞きをしてしまったらしい。悠の両親の提案で、僕は今日だけ悠の家に泊まらせてもらうことになった。
親に連絡しようと携帯の電源を入れると、母さんから『お父さんとお母さんは、今から仕事に行ってくるね』というメッセージが来ていた。
「……もう、仕事行くんだ……」
僕が送られてきた内容をそのまま悠の両親に伝えると、2人はありえない、と言いたげな表情をする。
「……とりあえず、ご飯出来たから食べましょ。ほら、陽音くんも」
「……え?…………あの、本当に良いんですか?泊めてもらえるだけではなく、ご飯まで……」
「遠慮しないで良いよ。まだ、夕飯食べてないんでしょ?」
「……はい」
「悠も、席に着いて食べなさい」
「はーい!ねぇ……お父さん、お母さん!夕ご飯食べたら、陽音含めた4人でマルチライブしようよ!」
「……良いぞ。お父さん、今回は負けないぞ!」
「あら。私に勝てるかな?」
そう言って、悠のお母さんは笑った。悠は「お父さん、いっつもお母さんに負けてるよね~!」といつもの笑顔で言う。
「う、うるさいな……」
2人の言葉に、悠のお父さんは顔を赤くした。その光景が面白くて、僕は「ふふっ」と笑う。