獅子組と私
絶望する
そしてまた後日。

「エビちゃん、久しぶり!」
「あ…村部さん……」
あの雨の日から、しばらく来ていなかった村部。
突然、椎那の働くレストランに来店してきた。

「少しでいいんだ!
付き合ってくれない?」
「………ごめんなさい。二人ではちょっと…」
「時間は取らないから!」
「じゃあ…五分だけ。
今から休憩なので……」

レストランの裏に移動した二人。
ここならいざとなれば、大声を出せば大丈夫だとたかをくくっていた。

「エビちゃん、僕ずっと君のこと好きだったんだ。
まぁ、バレてたとは思うけど……」
「それは……
でも、私は村部さんの気持ちに答えられません。
ごめんなさい!」
椎那は頭を下げ言った。

「ほんっと、後悔してるよ」
「え?」
「だって、僕の方が獅子組より早くエビちゃんに出会ってたんだよ?
なのに、スタートラインにも立たせてもらえない」
「え?あの……」

「ムカつくから、ちょっと意地悪させてよ!」
「え━━━
んん……ちょっ…」
「ゆっくり、おやすみ……」
椎那の意識がなくなり、村部に持たれかかった。

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椎那が目を覚ますと、ホテルの一室にいた。
口がタオルで塞がれて、村部に組み敷かれていた。
椎那「んーんー!」
村部「おはよ。一回でいいんだ!思い出にするから、抱かせて?」
椎那の目が大きく見開かれた。

椎那「んー!んんー!」
必死で身体全体で抵抗するが、びくともしない。
両手を頭の上で一つに押さえつけられ、服を乱暴に脱がされた。
村部「綺麗な肌だね……でも、キスマーク凄い…!!
それにこれ…噛み痕?
やっぱ、凄いんだね!獅子組のキングは」

椎那は飛鳥のモノだと物語っているようだ。

村部は言い様のない嫉妬を覚えた。

村部「僕の印……あげるね!」
椎那「━━━━━!!!!
んーんんーー!」
村部は、鎖骨と胸に数個のキスマークをつけた。
椎那はあまりの衝撃と、ショックで気を失ったのだ。

村部「ねぇ…起きてよ!これからだったのに……
まぁいいか!」

そして再度椎那が目を覚ますと、村部はもういなかった。
手紙があるのに、気づく。

【おはよう!
今日、家に帰ったら身体見てみるといいよ!
あ!職場には体調不良だって言っておいたから!感謝して?】

椎那はその場で、洗面所に直行する。
「━━━━!!
嘘……キスマーク…?」
身体が一気に震え出す。

こんなの、飛鳥くんが見たら………
消さなきゃ!
消さなきゃ!
消さなきゃ!
飛鳥くんにバレる前に━━━━━
咄嗟にスマホを取り誰かに連絡しようとして、手が止まる。
きっと、誰に言っても飛鳥にバレてしまうだろう。

どうすれば━━━━━
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