神、恋に落ちる
「白羽!!」
バン━━━!!!とドアが開いたかと思うと、命が入ってきて白羽はあっという間に抱き締められた。

「命さん、おかえりなさい」
「ただいま!んー、白羽好きぃ~!」
そして抱き締めていた手を緩めて、頬を両手で包み込み愛おしそうに言う。

「よく顔見せて?
可愛い…可愛いなぁ……」
「……////恥ずかしいです…今、一徹さんや由那がいるのに……」
「あ!ダメだよ!俺のことだけ考えて?
ほら…いつもみたいに言って?
“命さん、好き”」
「命…さん…好き…」
「フフ…いい子!
俺も大好きだよ……白羽、愛してる」


そんな二人を一徹は見ていて思う。

命が幸せそうで良かった。
地獄の九年。
ほんとにぼろぼろで、ただ息をしている人形だった命。必死で支えてきたが、一徹でさえも命の“本当の”笑顔を見たことがない。
叔父夫婦が亡くなり、祖父が亡くなり、自由と金、地位等全て手に入れても、命から本当の笑顔を見ることはなかった。

その地獄が命を強く恐ろしくし、笑顔を奪ったのだ。

そんな命が、本当に幸せそうなのだ。
こんな笑顔、初めて見た。

「一徹?泣いてるの?」
「いや…でも、ちょっと感動してる。
命が幸せそうで…」
「命さんは“ある意味”ずっと一人だったもんね」
「あぁ、やっぱちゃんと出逢えるもんなんだな。
心から信頼できて、大切だと思える相手に」
「そうね…!」

それから一徹と由那が帰り、ソファに座った命の足の間に座っている白羽。
「フフ…」
「ん?どうしたの?」
「さっきの一徹さんと由那みたいだなぁと思って……」
「ん?」
「命さんと一徹さんは、似てるけど似てない」
「フフ…なぁに?それ!」
「愛情表現が似てるけど、一徹さんは命さんじゃないってゆうか……一徹さんと由那を見てると、私も命さんにギュってされたいなって思うんです」

「そっかぁ!じゃあ、ギュってしないとね!」
後ろから抱き締めた、命。
「フフ…命さん、好きです!」
「俺も…大ー好き!」

二人はしばらく抱き締め合っていた。


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