「初めまして、神石 命です」
丁寧に頭を下げる命。

ホテルのレストランの個室。
豪華な食事を囲んでいる。

そして目の前には、白羽の父親がいる。

「こちらこそ。
白羽の父です。なかなか時間が取れなくてすまないね……」
「いえ…こちらこそ、お忙しいのにわざわざお越しいただいて申し訳ありません」
フワッと笑う、父親と命。

白羽一人が、緊張していた。

「神石くんは、沢山の土地や店などを持ってると聞いたが………」
「はい。祖父が資産家で、それをそのまま受け継ぎました」
「そんな人が何故、白羽を?」

「ご質問の意図がわかりません」
命は真っ直ぐ見ている。

「白羽に、どんな魅力があるのかと聞いているんだよ。
正直、僕はただの会社員で妻も早くに亡くしてるし、白羽は僕にとっては可愛い娘だが、一般的には決して美人ってわけじゃない。頭がいいわけでも、他に何かが優れているわけでもない。そうだろ?」
父親も、命の真っ直ぐな視線を受け止め言い返した。

「そうですね。
“外見だけ見れば”僕と白羽さんは、つり合いませんね」
「命さ……」

「でも、つり合わないといけないんですか?
大切なのは、気持ちです。
白羽さんでないと、僕は幸せになれません。
そうゆう意味では、僕につり合うのは“白羽”だけです!」
命は、澄んだ瞳で見据え言い切ったのだった。

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ホテルエントランスで、黒崎が車のドアを開けて待っている。

「では命くん、白羽のことよろしくお願いします」
父親は、乗り込む前に命に深く頭を下げて言った。

「はい。今日はお忙しいところありがとうございました。お気をつけてお帰りください」
命も頭を下げ言った。

「じゃあな、白羽」
白羽の頭をポンポンと撫で、車に乗り込んだ。

「うん、ありがとう!お父さん」
白羽もニコッと微笑んだ。

二人で車が見えなくなるまで見送ると、命が“ふぅー”と息を抜いた。
そして白羽に抱きつき、肩に顔を埋めた。