神、恋に落ちる
そこへ、命が入ってきた。
「あ!神!!」
男達が一斉に立ち上がり、頭を下げる。

「まだ何もヤってないの?」
「はい。今からっす!」
「ふーん」

「あ、あの!!」

「━━━━━━!!!!
俺を見るな、話しかけるな……虫螻…」

「ひっ━━━━━!!!」
命の鋭い目と凄まじい闇の雰囲気に、思わず桂里奈は後ずさった。

「おい、おい…これ以上、神を怒らせんなよ……」

「早く、ヤれよ…」
命が男達を睨み言った。

「はぁーい!!」
「誰からヤる~!」

「嫌!!やめて!!離して!!」

「……るせーよ!!!お前の声、さっきから耳障りなんだよ!!?」
先程まで優しかった男達が、途端に悪魔のように見えてくる。
抵抗なんかできるわけがなかった。
あっという間に服は引き裂かれ、口も塞がれ、手足も縛られた。

「やめてほしい?」
不意に、男の一人が言った。
桂里奈は、頭を縦に何度も振り男達を見た。

「だったら、神にお願いしなよ!
俺達は、神の命令でここにいる。
神だけが、俺達を自由にできるんだから」
そう言って、口を塞いでいた布と手足の拘束をといた。

ソファにもたれて足を組み、煙草を吸っている命の足元に行き、命のズボンの裾を握った桂里奈。
「お願……いしま…す。ゆる…してく…ださ……い」

「俺に触るな」
命はそのまま、桂里奈を蹴り上げた。

桂里奈の顎に命の足が当たり、血を噴き出す桂里奈。
「俺はお前が白羽にやったことと同じことをやってるだけだ。白羽を地獄に落としたお前が、地獄に落ちないなんてあり得ない。
お前……奴等に言ったらしいな。
白羽がどんなに懇願しても、ボロボロにして!って!
だから、お前もボロボロになれ!」

「……てことだって!なので、終わりませーん!」
「てか、その血、拭けよ!ここ、神のマンションなんだから汚したら後が大変なんだよ!」
そう言って、桂里奈のインナーを渡してきた。

「拭くもんないから、お前の服で拭けよ!」

桂里奈は絶望に顔を歪めながら、フローリングを自分の服で拭いた。
なんて、惨めなんだろう。
とにかく惨めで、涙が止まらない。

「だから言ったろ?
“白羽に、言うことないのかと”」

「え……?」
「そのチャンスを逃したお前が悪い。
じゃあ、後は頼む!俺は帰る」
「はい、お疲れ様でした!」

命が去り、桂里奈は男達が満足するまで玩具のように遊ばれた。




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