17年前、命の祖父は亡くなった。

命が高校三年生の時だった━━━━━━━

地獄の九年間。
命の祖父・神石 天城(あまぎ)は、命が生まれた時から命の可能性のようなものを感じ取っていた。

“命”と名付けたのも、天城。

こいつはとんでもない男になる、と━━━━━

自分の全ては命に相続させると決め、早々に遺言書まで書いた程だ。

でもその事で、命は地獄を見ることになった。

命の両親が亡くなり命を引き取るつもりでいたが、命の叔父夫婦に取られ命は奴隷のように虐待され続けたのだ。

叔父夫婦も亡くなり、命は天城に言った。

「じぃちゃん、俺を一人にしないで?」

命は純粋に、愛情を求めていた。
ただ“普通に”暮らしていければそれで良かった。
何気ないことで笑って、時には喧嘩して、仲直りする。
そうゆう…普通のこと━━━━━

天城はわかっていたはずだったのに、仕事の忙しさで命との時間をつくることができなかった。
天城からすれば、命が自分の死後少しでも幸せになれるように、もう二度と苦しまないようにしていたのだが、命にとっては祖父にまで蔑ろにされた気分になり、益々命を傷つける結果になったのだ。


「じぃちゃん、もう…死んでよ」


大好きな祖父にまで蔑ろにされた苦痛や寂しさから、本当の意味で誰も信じられなくなった、命。

心が完全にぼろぼろに壊れ、ある日突然……

命が言い放ったのだ。


「俺を一人にする人間はいらない」

「命…」

「じぃちゃんの全て呑み込むから、あとは俺が全て征服するからじぃちゃんは死んで?」

天城は、思う━━━━━━

やはり、命はとんでもない男だ。
自分のプラスとなる物や人を全て取り込み、吸収して我が物とする“征服者”

「いいよ、命。
俺は、お前を、愛しているよ」

天城は━━━━━━遺言書と共に“自分で”命を絶った。