神、恋に落ちる
「そんなわけありません!」

「とりあえず、おいで?」
命が両手を広げ言った。

白羽はゆっくり命の元へ向かった。
そして命に抱き締められた。

「白羽、今からお仕置きね……!
寝れると思わないでね?」
耳元で囁かれ、耳にピアスごと甘噛みされた。


「ねぇ…誰と、どんな話してたの?」
ベットに組み敷かれ、口唇をなぞる命。
「誰の声が、この耳に入ったの?」
そして耳に触れ、なぞられた。

「んんっ…!!」
「耳、弱いよね…白羽。
可愛い……
まぁ、いいや!なんとなく、想像つくし!」
妖しく笑う、命。

「命さん」
「ん?」
「大好き」
「フフ…うん!俺も、大好き!」
「お願いがあります」
「ん?」
「できる限り、あの残酷な命さんは見たくありません。だから……」
「わかってるよ!
白羽の前では、穏やかにいるようにする。
白羽が放れなければ……俺を一人にしなければ、俺はいつもの“命さん”だよ!
白羽も、俺を“神”にしないでね!」
「はい…」

「ねぇ…もういい?」
「え?」
「寝かさないって言ったよね?
白羽、壊れて、狂ってね!
俺と同じところまで……!!」

「━━━━━━━!!!?
…っんぁぁっ!!!命さ…いきなりっ…!!」
「白羽、キスしよ?」
「ンンン……っあ…!んんっ…」
「ん…今、一瞬飛んだ?
凄っ…白羽…可愛い…!
ちゃんと、意識保っててね?
まだまだ…終わらないんだから……!」

目の前の命が掠れる。
チカチカして、意識が…………

「ほら!白羽!い、し、き!保って!」
頬を何度も叩かれる。
「んんっ!……ぁ…んぁ…」
「可愛い…」

━━━━━━━━━━━━━━━
ぐったりして眠っている白羽。
その横で、ベットの背もたれにもたれて煙草を吸っている命。

【命】
不意に天城の声が、頭の中に響いてきた。

【忘れるな!
お前は、とんでもない男だ。
何もかもが“完璧で天才的”
でもだからって、全てはうまくはいかない】

「フフ…違うよ、じぃちゃん」
煙草の煙を天井に向かって吹いた。

「全て、うまくはいくように誘導するんだよ?
俺には、それができるんだから!」

【お前は、とんでもない男だ】
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