クラスの男子が全員、元カレだった件
21、元カレのために100m走対決をする件




平然とできるわけねえじゃん!


とっても気まずいんですけど。


それなのに、当枝冬馬は何事もなかったかのように、平然としている。


私の横に座って、「おはよう。今朝は随分とたくさん、シーザーサラダのドレッシングをとったんだね」と笑った。


私なんか、シーザーサラダのドレッシングをヨーグルトと間違えるほど、動揺しているというのに。


「あれ? 緊張してる?」


「うん、結構してるかも」


もちろん、当枝冬馬が横に座っているからなのだけど、当枝冬馬は、「そっか。でもあれだけ練習したんだし、大丈夫だよ」と笑った。


当枝冬馬も内心は動揺しているのだろうか。いや、そんな素振りは全くと言っていいほどない。この人には血が通っていないんじゃないだろうか。


そう思ってふと、当枝冬馬の手元を見ると、パスタを一生懸命スプーンでクルクルと巻こうとしていた。やっぱり当枝冬馬も動揺しているんだと思うと、何だか緊張がほぐれてきた。


人が病気の姿を見ると、なぜか自分は元気になるタイプなのだけど、それと同じだと思った。



< 284 / 406 >

この作品をシェア

pagetop