【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
「別に聞かれて困るような話はしていない」
 不機嫌な顔でイブライムが言う。

「あ。はい。でも、お仕事は終わりましたので。そろそろ戻ろうかな、と」

「アイリーンさん。文芸部、楽しい? 今年は五人も入部したから、びっくりしたよ」

「はい、とても楽しいです。まだ読んだことの無い本に出会えるので」

「アイリーンさんは本当に本が好きなんだね」
 本は好きだが、特定のジャンルに限る。
「明日、今までのテストを持ってきてあげるから、生徒会室にも顔を出してね」

「はい、ありがとうございます」

「それから」
 とフランシスに右腕を掴まれた。
「テストが終われば、また生徒会主催のダンスパーティがあるんだよ。そのときは、私にあなたのエスコートをさせてもらえないかな」
 左手でアイリーンの髪の毛をすくったフランシスは、その髪に口づけをする。
 イブライムの眉根がピクリと寄った。怖い。アイリーンは怖くて彼を見ることができない。

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