【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
気になる作家
 多分、その日はどうやって寮の部屋まで戻って来たのかを覚えていない。気付いたら部屋にいて、ぼーっとしているアイリーンのことをモイラが心配していた。ホームシックにでもかかったのか、と思ったらしいのだが。

「アディ先生が、アディ先生が」
 と壊れたおもちゃのように呟いていたから、あっちの方で何かあったのだろうということを悟ってくれた。

「お嬢様。私はここにおりますから、まずは何があったのかを教えていただけませんか?」
 モイラがアイリーンの手を握りしめると、彼女はコクッと頷いた。そして、ノエルから聞いた話をそのまま伝える。
「まぁ。とても素敵なお話ではありませんか」
 モイラが言う。そしてアイリーンもモイラに伝えることで冷静さを取り戻すことができた。
「それよりも。アディ先生って男性の方だったんですね。てっきり、私は女性の方かと」

「そう言われると、そうね。あの柔らかい文章から女の人を想像していたけれど。アディ先生は男だったのかぁ」

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