【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 父親は、また小難しい話をしている。相手が言った通りのことをプーランジェ語に訳して父親に伝え、父親が言ったことをアスカリッド語に訳して相手に伝える。ただ、これはものすごく疲れるから、会話と会話の間に休憩を入れるか、長くても一時間以内にして欲しい、と最初から伝えてある。
 そのように伝えていたからか、父親の出席する会議も滞りなく終わった。父親が席を立ったので、その後ろに次いで部屋を出ようとしたとき、アスカリッドの文官に呼び止められた。

「アイリーン嬢、この後、お時間がございますか?」
 ここで、父親はなんだって? という顔をする。これを手早くプーランジェ語に訳して、父親に伝える。
「まずは、話を聞いてみたらどうだ」
 不思議そうな表情を浮かべるものの、父親がそう言ったため、どのようなご用件でしょうか、と尋ねた。

「王妃が一緒にお茶でも、と申しております」
 アイリーンに対しての敬語。恐れ多いので、敬語を省いて手早くプーランジェ語に訳し、父親に相談する。
「ありがたい話ではないか? 受けなさい」

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