【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 日も暮れかかったころ、モントーヤ伯の屋敷に着いた。
「待っていたよ、リーン」
 両手を広げて、アイリーンを迎え入れるモントーヤ伯。そうそう、こんな人だったと思い出す。

「ご無沙汰しております、レイ小父様」

「少し見ない間に、綺麗になったんじゃないのか?」

「おいおい、レイ。うちのリーンは元から可愛いぞ?」

「エルトン。そういうことじゃないんだな」
 右手の人差し指を軽く横に振って、なぜかご機嫌なモントーヤ伯。そして思い出したかのように。
「残念ながらランスロットはいないのだが。ゆっくりしていってくれ」
 何が残念なのかわからないが、ありがとうございます、とアイリーンは言う。

「そういえば、エルトンが言っていたランスロットとの話だが」
 食事をしているときに、モントーヤ伯がそんなことを言い出した。アイリーンは黙って二人の話を聞いている。

< 220 / 365 >

この作品をシェア

pagetop