学年末のテストは赤の月。収穫の月は卒業パーティに向けての準備等で学院に来る者も多いが、授業は無い。その卒業パーティも収穫の月に入ってすぐ。それ以降は基本的には長期の休み。
 アイリーンが初めてこのアスカリッドの学院に足を踏み入れたのも、この収穫の月だった。あのときは不安と楽しみで心がいっぱいだったが、今では本の翻訳をしたり挿絵を描いたりとそれなりに充実している。もちろん、本業である勉学もおろそかにしてはならない。
 アスカリッドの甘美小説をプーランジェ語に翻訳してプーランジェでも発売するという話は前向きに進んでいた。ただし翻訳を行うのはアイリーンではなく別な翻訳者が担当となった。アイリーン自身は、月雲の挿絵や漫画を描くということだけで手いっぱいであったからだ。それでも合間を見ては、他の甘美小説のビーでエルなもののまとめ本を作っては、プーランジェの文芸部の仲間たちに送りつけている。

「リーン。話しがあるんだが、少し時間はあるか?」
 教室を出て、いつもの文芸部室に向かおうとしたとき、イブライムに呼び止められた。学年末のテストでは、ノエルに続いての二位。一時期はその点数差も開いたようだが、今ではまた数点の差に縮まってきている。ノエルが勉強をさぼっていたわけではない。イブライムが苦手なプーランジェ語に力を入れたからだ。