「約束通り、デートの申し込みをしたい」
 今ならまだ誰も来ていないから、という理由での生徒会室。アイリーンはイブライムの向かい側に座っていた。
 約束通りと言われても、アイリーンはすぐに思い出せなかった。目を大きく見開いてから、脳内フル回転。そう言われると昨年の長夜の月にそんなことを言われたような気がする。テストで二十点あがったら、デートがどうのこうの。

「本当に、二十点もあがったのですか?」

 疑わずにはいられなかった。でも、イブライムはけして嘘をつくような人間でもない。ここでの確認はお約束のようなもの。
 イブライムは口の両端を持ち上げた。これは、自信に満ちた笑いに違いない。そっと差し出したのは、テストの結果表。二学年になってから受けたテストの点数が羅列してあるもの。それを受け取り、プーランジェ語の点数を確認する。確かに昨年の長夜の月のテストよりも、今年の赤の月のテストの結果は二十点以上上がっている。それ以外の科目の結果も、アイリーンよりいい点数。
 アイリーンはそれをそっと返した。

「本当でしたね」