そのカーナの言葉に、アイリーンはゆっくりと頷く。
「ええ、ビーエルです」

 きゃ、と喜んで両手で口元を押さえたのはジジ。青い目を大きく見開き、口まで開けてしまったのはエレナ。嬉しそうに微笑んでいるカーナ。今、この部室にはこの四人しかいない。
 部員が四人しかいないのではなく、今日はこの四人での活動の日なのだ。活動といっても、こうやって集まって、お茶を飲んで、好きな作品について語り、そして創作するだけ。

「私は、隣国で売れているビーエル本、まさしくこの本を、このプーランジェでも手軽に読めるようにしたいと思っています」

「まさか、それが留学の理由?」
 カーナがアイリーンの方を向き、尋ねた。茶色のくせ毛が一緒に揺れる。

「もちろんです。私はこの月雲シリーズのために、留学をします。月雲シリーズは隣国で最も売れているビーエル小説とうかがっています。しかも続刊が今年の霜の月に発売決定。にも関わらず、このプーランジェで読めるのはいつになるかわからない。待てるわけがないでしょう。待てないのであれば、こちらから迎え撃つしかない」

「リーンらしいや」
 カーナはぷっと吹き出した。