モントーヤ伯の屋敷を早くに出る。それでもアスカリッドの王都に着く頃には日が暮れているだろう。今日は手配してある宿に泊まる。明日、学院の方へ手続きに向かうことになっていた。
 アイリーンは学院の寮でこれからの二年間を過ごすことになる。寮には、様々な子息令嬢も過ごしているらしく、侍女も一人までなら同伴可能となっている。
「お嬢様、そろそろアスカリッドに入りますよ」
 モイラが声をかけてくれる。アイリーンにとって、アスカリッドへ足を踏み入れるのは生まれてから初めてのこと。
 そのアスカリッドが農業の国であれば、プーランジェは工業の国だろう。豊富な地下資源を使って発展し続けている。だから、軍事力もプーランジェの方が高い。そして、この自動車もその恩恵の一つ。

「お父様、少しだけ外を見てもいいかしら」

「この辺なら、まだ人もいないからいいだろう。あまりはしゃがないように」

 アイリーンはそっと窓から外をのぞいてみた。そこに広がる田園風景は、プーランジェではなかなかお目にかかれないものである。
「すごいわね、モイラ。金色に輝いているわ」
 とアイリーンはアスカリッドの言葉で言ってみる。