天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
(……オーランドにもニコラにも感謝しなくては)

 強く、そう心に言い聞かせる。

 アウレリア亡きあと、ミリエラの姿を見るのもつらかった。側に置いていたら、また、不幸になってしまうのではないかと思い込んでいたから。

 けれど、母親代わりとなったニコラは、ミリエラをしっかりと育て上げてくれた。彼女の存在がなかったら、ミリエラはどんな子供になっていたのだろう。

 かつては陰鬱だったこの屋敷が、今は明るい光が差し込んでいる。

(私ひとりの娘ではないのかもしれないが)

 世間に公にするわけにはいかないが、ミリエラは精霊眼の持ち主だ。彼女の目のことを知ったなら、王宮だって彼女のことを欲しがるだろう。

 こうして屋敷から外に出さないのは、もしかしたらミリエラの可能性をつぶしてしまっているのかもしれない。

「パパ、銀色のふわふわ、綺麗ね?」

 ミリエラのために、オルゴールを修理する様子を見せていたら、彼女はぽつりとつぶやいた。

 銀色のふわふわとは、ジェラルドの身体を包み、そしてマナを流し込んだ錬金釜の中に流れ込んでいったらしい。

 それを聞いた瞬間、確信する。

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