天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 大人になっても、ミリエラの護衛をしてくれるというのなら喜んでお願いしたいが、決めるにはまだ早すぎる。

「――できた!」

 精神はともかく、身体はまだ子供で集中力に欠けるからか、ミリエラにとってはマナを流すというのはかなり難しい。毎回えいえいと気合を入れなければならないのだ。

 本人は一生懸命なのだが、側で見ているカークからするとものすごく面白い顔をしているらしい。レディの顔を見て面白いだなんて、まったく失礼なやつである。

「ニコラは?」

「母上は、厨房の手伝いに行ってるぞ」

「なんで?」

「さあ」

 カークは肩をすくめたけれど、それって一大事ではないだろうか。厨房を預かる料理人が腰をやってしまったとか。

 いくら屋敷の中とはいえ、子供達だけにされることはほとんどない。父か、オーランドかニコラのうち誰か側についているのが基本である。

 屋敷の中とはいえ、大人の目が届かないところで遊ばせないという心配りなのだろう。

 もちろん、カークもミリエラも危ないことなんてしないのだが、大人達から見たら不安になるのもわかる。

「厨房、行ってみよう」

 料理人の腰も心配だ。
< 117 / 294 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop